文鳥社、はじめました。

Posted on Posted in BLOG, BUNCHO-BUNKO
7月末に博報堂を退職し、ひっそりと「文鳥社」という会社をつくりました。文鳥社はデザイン会社です。「出版社のような名前ですね」とよく言われますが、一応デザイン会社です (出版もひとつの事業として行います)。博報堂の同い年のデザイナーとふたりでアイデアを出し合ってつくりました。辞めたのは僕一人なので、とりあえず表参道に小さな事務所を構え、ひとりでスタートしています。


博報堂には6年間ほどいて、肩書きはずっとコピーライターでした。博報堂のいいところも悪いところもたくさん見てきました。でも嫌いなことを書き出すと本を一冊書けてしまうので、今回は書かないことにします(会議がとにかく嫌いでした)。それよりはこれからのことについて書いてみようと思います。

文鳥社

デザイン会社と言うと、一般的には「受注の制作仕事」が多いと思うのですが、文鳥社は「受注ではない自社ビジネス」を中心にしていこうと考えています。具体的に、商品開発 、ベンチャー企業との共同事業開発、WEBサービス/アプリの開発を検討しています。

中でも、できるだけ文化的な活動で、かつ、自分たちが信じることのできる仕事にチャレンジしていきたいと考えています。その業務のひとつが、文鳥文庫です。

bunko-1-cef5f00b28da532e731a4de099cd74f579ba2f02ea6f21a85aa9c24ad5e5fa63


文鳥文庫

文鳥文庫は、とても小さな文庫です。16ページ以内の作品しかありません。製本するのではなく、写真のように蛇腹の形式で折りたたんでいます。先週から発売を開始しましたが、とても好評をもらっていてうれしいです。

いま、本はほんとに売れません。とくに文学や過去の作品は売れません。その理由のひとつに、(言うまでもないのですが)スマホがあります。スマホでみんな活字を摂取しすぎで、活字欲が満たされすぎているし、FacebookやTwitterに溶け込んでいるため「一度に読める文章単位」が減少していることに原因があると思います。いまの時代に「一冊の本」は、あまりに長く、重すぎます(見た目的も意識的にも)。

でも「走れメロス」は15分くらいで読めるわけです。「檸檬」だって8ページしかありません。本という構造を保つために、多くの短編をいれて「厚く」することが必要になってしまいます。だから本屋で見かけるメロスも檸檬も、分厚くなっているのです。「メロスは一冊の長い本だ」と思っている人は、実はとても多くいます。そういう僕だって、「堕落論」は本一冊だと思っていました。

また、文学の楽しさや奥深さは、長さに依存するものではありません。短い文章の中にどれだけの世界を詰め込めるかも、文学の面白さの一つです。すばらしい過去の文学作品は、ものすごく短くて、果てしなく深いものがあります。走れメロスの愉快さ、檸檬の鬱屈さ、堕落論の美しさ。そういうものをもっと知って欲しいと思います。時の洗礼を経た、緻密で繊細で強い文章を、もっと読んでもらいたいと思います。文鳥文庫はそんな思いでつくったものです。

「この時代に紙でやるというのは、WEBへのアンチテーゼですか?」と、たまに聞かれるのですが、別にそういうわけでもありません。同じ文章でも、求めるものが違うと考えています。WEBに求めるものは「情報」であり、文学に求めるのは「世界観」です。それは今のところ、ブラウザ越しでは伝わりにくいものです。

今後は、いろいろ改良したり、作家さんに書き下ろしのお願いをしたりしながら、ラインナップも増やしていこうと考えています。カフェや雑貨屋さんなど、今まで、本がなかったような場所で販売していきます。ネットでも買えますし、代官山蔦屋書店さんや、下北沢B&Bさんや、いくつかのカフェなどが取り扱ってくれています。ぜひ手にとって、触ってみてくれたらうれしいです。

ウェブサイト:文鳥文庫のページ

IMG_1123

じぶんたちの手でつくること

さて、話は変わるのですが、「じぶんたちの手でつくること」を文鳥社では目指したいと思います。結局のところ、当面の目標はそれだけです。言い方を変えると「愛せる仕事」をしていきたいと思います。自分が信じられるもの、愛せるもの。それを仕事にすること。そのためにはとにかく、「自分たちの手でつくる」ことが何より大事であるという実感があります。ほんとうの意味で「自分たちが生み出したもの」は愛せるからです。正直にいえば、博報堂にいたころは、その感覚をほとんど手にすることができませんでした。

だから文鳥社における、基本精神のひとつはDIY(Do It Yourserf!!!)です。編集も校正も装丁もコピーもWEB制作も営業も配送も自分たちでやります。もちろん(今のところ)印刷所は持ってないので、印刷など頼むべきところは頼みますが、自分たちで出来そうなところは自前でやりたいと思います。

オフィスの床の張替えも自分たちでやりました。木を切って敷き詰める作業です。真夏にやったのでとてもしんどいものでした。うまくいってないところが多々あって、片側を踏むと逆側があがってしまいます。でもそれさえも、やっぱり愛着がもてるものです。

この2ヶ月で、プログラミングを割とがっつり勉強しました。おかげで今書いているブログシステムも、一人で、一日ほどでつくれるようになりました。ruby on railsを使い、HTMLとCSSを書き、AWSのElastic Beanstalkでdeployしroute 53でサブドメインまでルーティグできるようになりました (なにいってんだ )。自分でつくると、痒いところに手が届くからいいです。このブログもこれからよくしていこうと思ってるし、あたらしいWEBサービスなんかも開発していこうと企んでいます。

日本は、つくる人と企画する人が分かれている傾向が強いと思います。確かに面倒は多いし、時間はかかります。バグにぶつかって2時間解決できないなんてこともあるし、配送作業だって自分たちでやると大変です。でも、やるべきなんです。それは何よりも、「そっちのほうが楽しい」からです。

さいごに

具体的に価値のある何かを創ることは、本当に楽しいことです。それがなぜなのかはうまく説明できません。物語を生み出す、音楽を奏でる、絵を描く、プロダクトを開発する、サービスをコーディングする、会社をつくる。昨日はなかった何かを生み出すことは、きっとひとに与えられた喜びの中でも最高に高度で贅沢な試みなのだと思います。

今、とても小さな会社です。あんまり先のことも考えていません。計画も嫌いだし、説明も嫌いです。ただ、ゆくゆくは日本を代表するデザイン会社をつくる気でいます。というわけで、メンバーを募集していますので、興味のある方はいつでも気軽に連絡をください。 詳しくはこちら

いろいろと偉そうなことを言いましたが、とにかく自分たちが愛せると思う仕事をすること。書くこと、作ること、思慮深くあること、人に優しくすること、よく眠ること。望むものなんてそんなものなんですけど、これがけっこう難しいんですよね。頑張っていこうと思います。

さて、最後に、俺が仕事をしているかどうかをチェックしにきた、我が社のトップである文鳥会長の写真を貼っておきます。
IMG_1034
今日はこんなところで。

Pocket

The following two tabs change content below.
Keita Makino

Keita Makino

文鳥会長の下で働くCEO